マネジメントは組織の機関ですが、実際にその仕事を行うのは人です。マネジメントを担う人材をいかに準備し、確保し、配置していくかは、組織にとって致命的に重要になります。
したがって、マネジメントの役割を担う人は、組織のもっとも重要な基礎資源です。完全にオートメーション化された工場には、一般従業員がほとんどいないことがありますが、マネジメントはいます。
組織が目標を達成するためにはマネジメントが不可欠ですが、組織が一定の大きさになって質的に変化すると、マネジメント・チームが必要になります。
マネジメントを担う人
日本語で「マネジメント」と言う場合、人を指すことも多いようですが、ドラッカーの原書では、機関や機能を指して「management」が使われていることがほとんどです。マネジメントを担う人を指す場合、「manager」という単語が使われています。
しかし、「manager」は部下をもつ管理者のイメージが強いため、マネジメントの機能を本質的に含む専門的な知識労働者、つまりスペシャリストやテクノロジストを表現できません。そのため、ドラッカーの書籍の日本語訳では、人を指す場合も「マネジメント」で統一しているように思います(「経営管理者」という訳もあります)。
ドラッカーが、マネジメントを担う人をどのようにとらえているかについて詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
マネジメントの仕事
マネジメントには3つの役割があります。詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
これらの役割を具体的に果たしていくための仕事についても、ドラッカーは体系的に明らかにしています。それは、目標の設定、組織化、動機づけとコミュニケーション、評価測定、人材育成の5つです。
最低限必要な資質、職務設計の方法も示しています。詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
ドラッカーによると、マネジメントの仕事をこなすには4つのスキルが必要であるといいます。意思決定、コミュニケーション、管理、分析のスキルです。詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
マネジメントは、成果に対して責任を負う存在ですから、自らの具体的な仕事の内容と進め方は自ら設定し、上司と調整のうえで決定しなければなりません。すなわち「自己目標管理」が基本です。詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
マネジメントの教育
マネジメントの仕事は体系的に明らかにされており、スキルも明確になっていることから、学ぶことができるものでもあります。
ドラッカーは、学ぶべき内容として、経験の前に学ぶことができる基礎的知識と、一定の経験後でなければ学ぶことができないものを区別しています。
また、マネジメントの教育には、2つの側面があることを明らかにしています。一つは、組織のニーズとして必要なマネジメントの姿を明らかにする「マネジメント開発」です。もう一つは、人を組織のニーズに応えさせ、成果をあげさせるようにするための「マネジメント教育」です。
マネジメントの教育内容と身につけるべき習慣や能力について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
トップマネジメントの役割
トップマネジメントとは、組織のトップに位置づけられる機関であり、組織としての最終意思決定機関です。組織全体の成果に責任を負う存在ですから、組織の目的や使命、戦略の策定、全体の組織化などについて意思決定と管理を行います。
しかし、実際の仕事はきわめて多様で、多忙です。組織の顔としての対外的な仕事にも参加を求められます。組織が一定の大きさになれば、一人ですべての仕事をこなすことは不可能になり、チームによる対応が必要になります。
マネジメント・チームの必要性について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
また、トップマネジメントの役割について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。
成果中心の精神
人には強みだけでなく弱みもあり、能力に限界がありますから、一人で実現できる成果は小さなものです。
だから、人は集まって組織をつくります。強みを集め、生かし合い、弱みを補って無意味にすることによって、全体の成果を大きなものにすることができます。一人ひとりの能力の足し算で得られるよりも大きな成果です。
これがすなわち「生産性を高める」ということであり、「投入したもの以上のものを生み出す」ということです。
しかし、非凡な成果は、単に人が集まるだけで自然に生み出されるものではありません。かといって、優秀な人たちを集めなければ成果をあげられないわけでもありません。
必要なことは、組織の中に「成果中心の精神」を生み出し、定着させることです。組織のメンバーの意識と行動を常に成果に向けさせるための精神です。この精神が定着して初めて、自己目標管理も機能します。一人ひとりがマネジメントとしての役割を果たす方向で動機づけられるようになります。
成果中心の精神について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。