売り込まない営業の極意

「営業は断られてナンボである」というフレーズを何度聞かされたことでしょう。

アポ取りのための電話掛けのノルマは過酷です。受話器を置くのが時間の無駄なので、片手を受話器に縛り付けた状態で、ひたすらアポ取り電話を掛け続けるという会社もあります。

ノルマが終わるまでは、たとえ夜中の12時を過ぎても電話を掛け続け、相手の迷惑などお構いなしです。「一体誰のために商売をしているのか」と言いたくなります。

「そうやって過酷な試練を乗り越えた者だけが、生き馬の目を抜く競争社会で生き残り、成功することができる」などと言われますが、本当でしょうか。まるで、車が高速で行き交う道路に度胸試しで飛び出して、怪我をしなかった者だけが生きる資格があると言わんばかりです。

そうは言っても、売り込まなくて営業で成約できる方法が果たしてあるのでしょうか。

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起業に根本的に向いていない人とは?

筆者は、経営コンサルタントとして、主に中小企業の経営者あるいは創業希望者と数多く会って相談を受けてきました。

経営には様々な理論があり、テクニックやノウハウに当たるももたくさんあります。それらの多くを知っておいたほうがよいのは間違いありません。しかし、はっきり言って、それらは学ぶことができますし、アウトソーシングできるものも少なくありません。

筆者の多数の相談経験から考えて、経営者の条件をあげ始めればきりがありませんが、これだけは絶対に外せないと思えるものがあります。

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今どきの労働問題に見えるブラック企業の兆候

世の中でブラック企業が大きく取り上げられるようになったのは、2009年頃と言われています。リーマン・ショックが大きなきっかけだったようです。

当初は、新卒正社員の使い捨て問題として大々的に取り上げられましたが、現在では、その意味する範囲が更に広がっているようです。

逆に「ブラック企業」という言葉の意味が薄まってしまい、そもそも何が問題なのかが分かりにくくなっているとも感じます。

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会社に貢献してくれる社員とそうでない社員の見極め方

この投稿を執筆している現在、新型コロナの再流行が起こっています。再び、緊急事態が宣言されるかどうかの瀬戸際といったところでしょうか。

厳しい経営状態にある企業も多いことでしょう。だからこそ、企業を強くするための改革、文字どおりのリストラクチャリングを行わなければなりません。

ただし、業績が好調で、企業が成長していると思っているなら、なおさらリストラクチャリングは重要です。「今、成功している」という考えが、組織に無駄な贅肉を蓄積していくことになるからです。

人手が不足しがちになるため人材の採用に甘くなり、ときには安易にお金で釣って、会社にとって相応しくない人材を抱え込んでしまいがちです。

ですから、会社にとって最も重要なことは、わが社の業績に貢献してくれる本物の優れた社員と、そうでない社員を見分け、前者に残ってもらえるようにすることです。後者には、できれば自分から去ってもらえるようにすることです。

そのための端的な方法は、

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新規顧客を増やしたいときに先ずやるべきこと

ある小規模の紙製品卸売業を訪問しました。

「顧客の業界の市場が縮小し、売上が低迷しているため、新規顧客を開拓したいが、資金もマンパワーも余力がない。どうしたらよいか。」という相談でした。

財務諸表を拝見したところ、会計士がついていて、コスト削減は徹底していました。おそらく、これ以上削れそうなところはない状態でした。

無駄な資産も処分し、非常にスリム化した経営状態でしたが、強いて言えば、在庫がまだ過剰な印象でした。多くの小規模な顧客に、多くの種類の製品を販売しているため、在庫管理が難しい状態になっているようでした。

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現場の一人仕事で労働災害を防止する方法

顧客の現場に社員を派遣して、一人で仕事をさせるときに、労働災害が発生することがあります。

そういう場合に、当の会社は、「会社がいくら社員を指導しても、現場で社員が法令を守らないから仕方がない。」という言い方をすることがあります。

はっきり言って、そういう言い方をする会社は、現場の単独作業でなくても、労働災害はよく発生していると思いますし、労働災害がなくなることはありません。

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社員はなぜすぐ辞めるのか?

ある会社の社長から、相談の冒頭で、こんな質問を受けました。

わが社の社員は入社してもすぐ辞めてしまう。なぜか。

正直言って、目が点になってしまいました。

初対面でありながら、そのような質問を受けたわけです。毎日、その社員に接している社長に分からないことが、コンサルタントには分かると考えていたようです。

実を言うと、このような相談は少なくありません。

社員が辞める理由など、会社によっても、社員によっても違います。同じ会社でも、辞める人と辞めない人がいるわけですから、「その人がその会社で何があったのか」が問題なわけです。

ですから、筆者なりに、唯一共通の理由をあげるとするならば、

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目標管理制度は時代遅れなのか?

目標管理制度を導入している企業は多いでしょうが、うまく行っているところはそれほど多くないようです。

目標管理制度の基になっているのは、ドラッカーが提唱した「自己目標管理(management by objectives and self-control)」です。ドラッカーのマネジメント理論を支える経営哲学に位置づけられており、顧客にとっての成果に向けて多様な人材で構成された組織を機能させるための根幹に関わるものです。

(参考:自己目標管理

単なる人事手法ではありませんから、人事管理の一制度として導入するだけでうまく行くことはありません。背景となる考え方の理解と浸透が不可欠です。それは、組織のメンバーの意識と行動を常に成果に向けさせるための行動原理であり、ドラッカーは「成果中心の精神」(The spirit of performance)と呼んでいます。

(参考:成果中心の精神「目標管理がうまく行かない理由」

ところが、現在日本企業が置かれている状況では、もはや目標管理はそぐわなくなっているという指摘があります。ドラッカーが自己目標管理を必要と考えたときの状況とは、前提が変わってしまっているというのが理由です。

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目標管理がうまく行かない理由

目標管理制度がうまく行っている組織は、それほど多くないようです。

よく聞く問題は、従業員に目標を決めさせると、必ず達成できそうな低いレベルで設定しようとするというものです。目標達成によって給与や賞与を決定していると、当然、人件費は高止まりします。

目標管理制度の元は、ドラッカーが『現代の経営』で提案した「自己目標管理」です。原語では、

management by objectives and self-control:目標と自己管理によるマネジメント

です。

自己目標管理は、ドラッカーによると、マネジメントの「哲学」(本質、根本原理)ともいうべき経営の根幹に当たるものです。ドラッカーの経営理論は、自己目標管理を中核として構築されていると言っても言い過ぎではありません。単なる手法やスローガンとは全く違います。

ところが、いわゆる目標管理制度として実施されているもの、少なくともうまく行っていない目標管理制度は、人事管理制度の一手法でしかありません。

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リーダーシップは本当に身につけられるのか?

「リーダーシップ」には格好いい響きがあります。リーダーシップを身につけたい、発揮したいと思わない人はいないでしょう。

でも、それはとても難しいことで、自分には無理だと思う人も少なくないかもしれません。

リーダーシップについて調べると、いろいろな理論が出てきます。いろんな人がいろんなことを言っていて、よく分からないし、難しそうだし、コーチングだのファシリテーションだの、いろんなことを修得しないといけないみたいだし・・・。

あれこれ考えて、結局、自分には無理だと思ってしまうのではないでしょうか。

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