部下のやる気を引き出すコミュニケーション

コミュニケーションは組織が機能し、成果をあげるうえでなくてはならない機能です。

コミュニケーションを円滑に進め、部下のやる気を引き出すためには、部下を理解することが不可欠です。

コミュニケーションは、受け手が受け入れてくれなければ成立しないからです。

コミュニケーションに必要なのは伝える技術ではありません。受け手が自ら気づいて行動してもらうための共感を生み出す技術です。お互いの認識の違いを明らかにし、お互いが納得できる解決策を見出す努力です。

コミュニケーションの受け手のことをまず理解し、受け手が自ら動きたくなる気持ちを起こしてもらうための方法が必要です。

コミュニケーションの本質

組織は人の集まりですから、組織が機能し、目的を達成するためには、人と人とのコミュニケーションが不可欠です。

コミュニケーションは、何かを要求したいときに始まります。例えば、上司が部下に何かをして欲しいときに、上司は部下に対してコミュニケーションを図ろうとします。

相手に要求を受け入れて欲しいなら、理解が不可欠です。

そのため、コミュニケーションの研修では、要求する側(話し手)がいかに受け手にうまく伝え、理解してもらうかに重点が置かれます。

しかしながら、コミュニケーションは、受け手が受け入れてくれなければ成立しません。

人は、人の話をありのままに聞くのではなく、同じものを違ったように聞くことがあります。聞く側の考え方や理解によって影響を受けるからです。

受け手が期待していることに沿って理解されるため、容易に誤解されたり無視されたりすることさえあります。

ですから、コミュニケーションに必要なのは伝える技術ではありません。受け手が自ら気づいて行動してもらうための共感を生み出す技術です。

自分の意のままに人を動かすテクニックではありません。お互いの認識の違いを明らかにし、お互いが納得できる解決策を見出す努力です。

要するに、コミュニケーションでは、話し手のことを受け手に理解してもらう前に、まず受け手のことを理解しなければならないということです。

受け手の認識と期待にしたがって、話し手の要求を共有してもらわなければなりません。

要するに、次の2つの取組みが必要です。

  1. コミュニケーションの受け手のことを理解すること
  2. その理解に従って、受け手が自ら動きたくなる気持ちを起こしてもらうこと

コミュニケーションの本質について、より詳しく知りたい方は、「コミュニケーション」を参考にしてください。

相手を理解する

コミュニケーションの話し手は、まず受け手のものの見方や考え方、受け手の理解、興味、期待を知る必要があります。

人が誰かを説得したり、自分の考えに従わせようとしたりするときは、どうしても相手の間違いや粗を探し、それを相手に分からせようとしがちです。

しかし、自分のことを理解してくれない人のことを、わざわざ受け入れたいと思う人はいません。誰もが、自分のことを理解してくれる人を受け入れたいと思います。

まず相手の間違いや粗に意識を向けてしまうと、結局、相手のことを理解することはできず、相手から理解されることもありません。

ですから、まず相手を理解しようとしなければなりません。理解しようとする姿勢が、実は逆に、違いを際立たせます。双方の違いがどこにあるのか、何が原因なのかがはっきりと見えてくるのです。

「自分と相手の違い」であって「相手の間違い」ではありません。ある問題に対する認識の違い、受け止め方や理解の仕方の違いです。相手が間違っているのではなく、「相手はその人の認識において正しい」という前提で聞かなければなりません。

相手に関心を持ち、耳を傾ける

受け手に対して誠実な関心を寄せ、受け手の話にまず耳を傾けます。相手自身のこと、得意なこと、関心を持っていることを聴きます。受け手は、自分の話を誠実に聴いてくれた人だからこそ、その人の話も聴こうという気になります。

批判はしない

聴いている間、批判、非難、苦情は言わないようにします。人は誰でも自分が正しいと思い、正しいと思いたいと思っているからです。人は議論に負けても、意見を変えることはめったになく、逆に反感を覚えることさえあります。

理由を理解し、一致点に焦点を合わせる

人の意見には、必ずその人なりの理由がありますから、その理由を理解しようと努めます。

お互いの意見の一致点を探します。一致点に焦点を合わせ、強調しながら話を進めることが、理解を促進するために大切です。

意見の不一致は、歓迎する姿勢を示します。互いの認識の違いを知り、重大な失敗をあらかじめ防ぐきっかけになるからです。

相手を理解する方法をより詳しく知りたい方は、「相手を理解するためのコミュニケーション」を参考にしてください。

自ら動きたくなる気持ちを起こさせる

相手の理解に努めたら、次は、その理解にもとづいて、相手が自ら動きたくなる気持ちを起こしてもらえるように努力します。

人は重要感を欲していますから、相手の自尊心を尊重することが重要になります。

仕事そのものをコミュニケーションの中心にする

人が重要感を感じるのは、仕事そのものの中においてです。

ですから、コミュニケーションの中心は仕事そのものでなければなりません。仕事自体にやりが必要です。

そのためには、相手の強みに焦点を合わせます。強みを認め、率直に評価すること、強みを生かすために何が必要かを明らかにしようとすることです。

強みを生かすために必要な環境、ツールの整備も必要です。中でも、相手の仕事の成果をフィードバックすることが重要です。

誤解や弱みは、自分で気づけるようなきっかけを与える

相手の明らかな誤解、あるいは弱みが組織に害をなしている場合は、相手が自ら気づくことができるようなきっかけを与えることが最善です。

相手の意見を否定するのではなく、協調的な態度で注意深く質問しながら、相手の理解を促進します。

自分の失敗談を話すことができるならば、さらに相手の反発は弱まり、自尊心を損なう可能性は少なくなります。

この場合にも、意識的に互いの一致点を探し、強調しながら話を進めることが肝心です。そうすることで、前向きで建設的な議論を進め、よりよい解決策に到達できる可能性が高まります。

自ら動きたくなる気持ちを起こさせる方法をより詳しく知りたい方は、「相手が動きたくなるコミュニケーション」を参考にしてください。

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