教室での管理技法の習得 − 「X理論」と「Y理論」⑮

管理者教育にはいろいろな方法があり、それぞれに適した種々の方法と戦略があることを十分心得ている場合は、教室での教育(Off-JT)を有力な手段として使うことができます。

ただし、教室での教育にあまり多くを望み過ぎてはいけません。

教室での教育の効果を過小評価するわけではありません。経営者や管理者は、自分が部下を職場で訓練する責任を、教室での教育に肩代わりさせようとしがちだからです。

管理能力は仕事を通じて作り上げられるものであり、教室での教育は補助手段に過ぎません。職場の空気の影響を無視して、教室での教育を評価しようとしても意味がありません。

管理者に対して教室での教育を行う場合、教育の目的によって適当な教育方法が決まっています。

学問的知識の習得

管理者に必要な知識には幅広いもがあります。自分の仕事に直接関わる専門的知識もさることながら、幅広い専門的知識が必要です。管理者には、他の部門との連携や調整が求められるからです。

また、広く政治・経済・社会に関わる知識も必要です。企業が置かれている外部環境を理解する必要があるからです。

このような知識は、変化するのも速いため、定期的な学習が不可欠です。企業は、管理者に対して、学習の意欲を掻き立て続けるような仕組みを用意しておく必要があります。

体を用いての技法の習得

管理者の仕事としては、肉体的な技法がそれほど必要ではありません。ただ、この種の教育を垣間見ておくと、後々重要になる人間関係についての技法の習得に役立ちます。

肉体的な技法の習得には、練習またはフィードバックを伴った体験が必要です。やってみて、その努力がうまくいっているかどうかを知らせてもらわなければ習得できません。

勉強はやらされるものではなく、自ら進んでやるものであるということは、肉体的な技法を身につける場合に一層当てはまります。生徒の方で必要を感じた場合に限り、努力を傾けるものです。

問題解決技法の習得

管理業務の最たるものは、問題解決です。

問題解決技法を習得する方法には様々なものがあり、事例研究やロール・プレイングなど、教室において学ぶ方法も充実しています。

人間関係を扱う技法の習得

管理者は、上司や部下や同僚との相互依存関係の中で仕事を遂行する必要があるため、人間関係を扱う技法を避けて通ることはできません。

しかし、これほど習得が困難な技法もありません。人は誰でも幼い頃から人間関係について経験を積み、独自の防御網を強固に築いているため、その影響を抜き難いからです。

マグレガーは、効果的な教育方法として「研究室」方式を推奨しています。