コミュニケーションは組織が機能し、成果をあげるうえでなくてはならない機能です。コミュニケーションは、受け手が受け入れることによって初めて成立します。
コミュニケーションは受け手が知覚して初めて受け取られるものであるからです。受け手の期待に沿って理解されるため、容易に誤解されたり無視されたりするからです。
コミュニケーションでは、まず、受け手のことを理解し、その理解にしたがって、発し手の要求を共有してもらわなければなりません。
コミュニケーションの方法については、すでにさまざまな分野で多くの研究がなされ、提案されています。
近年のコミュニケーション論の集大成であり、原点でもあるデール・カーネギーの『人を動かす』を参考に、ポイントを説明してみたいと思います。
コミュニケーションの受け手のことをまず理解するための方法です。
誠実な関心を寄せる
人はみな、他人の誰よりも自分のことにいちばん関心があります。自分をほめてくれる人を好み、自分に関心を示してくれる人に関心を寄せます。
相手を理解するためには、まず相手に対して誠実な関心を向けることから始めなければなりません。
誠実な関心は、コミュニケーションを行う際に、始終一貫して求められる姿勢です。誠実な関心のないところに、理解はありません。あなたの態度、言葉遣い、表情のすべてを支配する重要な姿勢です。
聞き手に回る
相手に関心を向けたら、まず、その人の話にひたすら耳を傾けます。相手自身のこと、相手が得意としていること、相手が関心を持っていることを聞きます。
人は自分の話に心を奪われる聞き手に惑わされます。重要感が満たされるからです。
議論を避ける
相手の話を聞いた結果、自分の考えと異なること、さらには相手の考えが間違っていると思うことがあるでしょう。
しかし、批判、非難、苦情を言ってはいけません。穏やかな態度で接するよう努めます。
人は誰でも自分が正しいと思っています。正しいと思いたいと思っています。正しいと思いたいから、自分を正当化します。
ですから、人は議論に負けても、意見を変えることはめったにありません。自尊心を傷つけられたと感じ、逆に反抗心を起こすことさえあります。
人は自己の重要感から賞讃を求め、批判を恐れています。ですから、議論に勝つことによって相手の好意を得ることは期待できないと知るべきです。
理解とは理由を知ること
人の意見には、必ずその人なりの理由があります。まずは、その理由を理解しようとする必要があります。
考えや行為自体を理解する必要はありません。正しいと受け入れる必要もありません。なぜそう考え、なぜそうするのか、その理由を知り、理解することです。
そのために、相手の立場から見る努力をします。
自分の間違いは認め、一致・不一致を確認する
もし自分が間違っている点があれば、素直に認めることが大切です。たとえ部分的ではあっても、相手の意見の正当性、長所、理にかなっている点は少なくとも認めなければなりません。
そのうえで、お互いの意見の一致点を探す努力をします。一致点に焦点を合わせ、強調しながら話を進めることが理解を促進するために大切なことです。
意見の不一致については歓迎する姿勢を示します。認識の違いを知り、重大な失敗をあらかじめ防ぐきっかけとして捉えることもできます。