企業家戦略

企業家精神を実際に発揮してイノベーションを起こし、市場において具体的な成果を得るための原理と方法が、企業家戦略です。

ドラッカーが示す企業家戦略には、大きく4つの種類があり、それらはさらに10種類に細分化されます。

企業家戦略の実現にはイノベーションが伴いますが、どのイノベーションをどの企業家戦略に適用するかは、大きなリスクを伴う判断が必要です。企業家戦略によって、イノベーションが現実の市場において成功するかどうかが決まります。

企業家精神の発揮

企業家精神の発揮には、

  • 組織の内部に関わる原理と方法
  • 組織の外部、すなわち市場に関わる原理と方法

の2種類があります。

前者は企業家マネジメントであり、組織内部において企業家精神を育て、維持するための行動原理と方法です。

後者は企業家戦略であり、企業家精神を実際に発揮して市場において成果を得るための行動原理と方法です。

企業家戦略

企業家戦略は、大きく分けて4つあります。

これらは、組み合わせて一つの戦略とすることができます。

はっきりと区別できるものではなく、同じ戦略をゲリラ戦略あるいはニッチ戦略としてとらえることもできます。

総力戦略

明確な一つの目標に全エネルギーを集中する戦略です。新たに市場や産業を生み出すことを目指し、生み出した市場や産業において最初から永続的なトップの座を狙います。

総力戦略について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。

ゲリラ戦略

競合の弱みを攻撃する戦略で、さらに次の2つがあります。

  • 創造的模倣戦略
    • 他社の成功を利用する戦略です。すでに市場が確立し、製品が受け入れられている状態で、製品やサービスを完成させ、顧客の視点でその位置づけを行います。
  • 柔道戦略
    • 先行者が拒否した予期せぬ成功を利用する戦略です。

ゲリラ戦略について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。

ニッチ戦略

限定された領域で実質的な独占を目指すことによって、競争を回避する戦略です。さらに次の3つがあります。

  • 関所戦略
    • プロセスの関所と言うに相応しい位置を確保する戦略です。そのプロセスになくてはならない製品であって、一社だけが占拠できるだけの狭さをもつ市場が対象です。
  • 専門技術戦略
    • 優れた専門技術によって、ニッチにおける支配的地位を獲得する戦略です。
  • 専門市場戦略
    • 市場についての専門知識によって、ニッチにおける支配的地位を獲得する戦略です。

ニッチ戦略について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。

顧客創造戦略

新しい価値を創造することによって、顧客を創造する戦略です。さらに次の4つがあります。

  • 効用戦略
    • 顧客が目的を達成するうえで必要なサービス、顧客にとっての真のサービス、真の効用を提供する戦略です。
  • 価格戦略
    • 消費者が実際に買うもの(価値)に合わせて価格を設定する戦略です。
  • 事情戦略
    • 顧客の事情、顧客にとっての合理性に対応する戦略です。
  • 価値戦略
    • 生産者にとっての製品ではなく、顧客にとっての価値を提供する戦略です。

顧客創造戦略について詳しく知りたい方は、次の記事を参照してください。