現代の中核企業は、たとえアメリカ人が所有していたとしても、アメリカ人のものでなくなってきています。
水面下では分権化し、グループとそのサブ・グループが世界中に同じように散在する事業グループと絶えず連携する傾向を強めています。
これは大量生産から高付加価値生産への移行です。特定の顧客層が持つ個性的なニーズを満たすための転換です。
高付加価値型生産において活躍する人材は、問題解決者、問題発見者および戦略的媒介者の三者です。
この転換は産業全域で起こった
標準化された商品を生産することからは大きな収益をあげることができなくなり、特定の顧客層が持つ個性的なニーズを満たすように変わっていきました。
こうして今日まで生き残った企業は、大量生産から高付加価値生産へと移行しました。
顧客のニーズに正確に応える商品やサービスに対して、顧客はプレミアムを喜んで支払います。このような高付加価値事業は、世界中の大量生産事業を行っている競争企業には、容易に真似することができません。
新たにできた参入障壁は、量でも価格でもなく、特定の市場に見合った特定の技術を探し出す技能です。中核企業はもはや、製品自体に注目するのではなく、ますます個別情報に基づいて戦略を立案するようになっています。
高い価値を生む3つの技能
高付加価値事業には、それを推進する3つの技能を見い出すことができます。
第一は、物事を独自な方法で組み立てることが要求される問題解決の技能です。あるもの同士を結合した場合に何が生まれるかについての深い知識を持ち、成果を生み出すために、どのような構想と司令によってこれらの知識を利用するかを熟知しています。この技能を持つ者が「問題解決者」です。
第二は、顧客が自らのニーズを理解するのを助け、ニーズに合致した商品を供給するために、どのように製品の仕様を変更すればよいのかを決定できる技能です。顧客のビジネスについての深い理解、すなわち顧客の競争優位がどこにあり、どうすればそれが達成できるかを知る能力も必要です。この技能を持つ者が「問題発見者」です。
第三は、問題解決者と問題発見者を結びつけるために必要とされる技能です。特定の技術と市場について十分理解し、新製品の潜在的な価値を判断する能力が必要です。この技能を持つ者が「戦略的媒介者」です。絶えずアイデアを管理している人です。
商品とサービスの区別は無意味
高付加価値型企業における利益は、規模と量によってではなく、ニーズと解決策を結びつける新しい組み合わせを絶えず発見することによって生まれます。
「商品」と「サービス」の区別は無意味になっています。成功企業が提供する価値の大半はサービスを含み、その価値は、世界中どこにおいても容易には創り出せないという点に求められます。
例えば、問題を解決するために編み出された特別調査、設計、デザイン・サービスであったり、問題を発見するために必要な特別な販売とマーケティング、コンサルティング・サービスであったりします。問題発見と解決策を媒介する独自の戦略、財務上・経営上のサービスであったりします。