マーケティングとイノベーションの目標

目標設定の中心は、マーケティングとイノベーションです。顧客の支払いに直接関わる領域であり、マネジメントの基本的機能だからです。

他の目標はすべて、この2つの目標の達成に貢献するものとして設定されます。

マーケティングの目標

マーケティングの目標も1つではありません。次の7つの分野で目標を設定します。

  1. 既存の市場における既存の製品
  2. 既存の製品の廃棄
  3. 既存の市場における新製品
  4. 新市場
  5. 流通チャネル
  6. アフターサービス
  7. 信用供与

イノベーションの目標

イノベーションの目標は、「われわれの事業は何であるべきか」の答えを具体的な行動にするためのものです。イノベーションには、次の3種類があります。

  1. 製品とサービスにおけるイノベーション
  2. 市場におけるイノベーション
  3. 製品とサービスを市場にもって行くまでの流通チャネルにおけるイノベーション

イノベーションは思いつきではありません。市場と顧客のニーズから生まれるものです。あるいは、大学や研究所での知識の探求やスキルの発展からも生まれます。

特に技術の進歩が著しくない産業でこそ、企業全体が硬直化しないよう、イノベーションの目標を定めることが重要になります。

また、企業の規模にかかわらず必要な目標です。むしろ小企業の方が、イノベーションのための計画は立てやすいと言えます。

イノベーションは、影響度と重要度の測定が難しいため、目標設定においても困難を極めます。
例えば、即座に利用可能な小さな改良と、長期の努力が必要な大きな革新と、どちらを重視すべきでしょうか。どのような基準で判断すべきでしょうか。業界によって、あるいは、同じ業界であっても企業によって、異なってくると予想されます。

イノベーションは、マーケティングと表裏一体です。マーケティングの目標を達成するために必要なイノベーションの見積もりをしなければなりません。

技術進歩によって期待できそうなものを、直近のもの、将来のものについて予測することも必要です。すでに行われたイノベーションがもたらす具体的な進展についての短期の予測、あるべき姿を思考する長期の予測が必要です。

イノベーションの目標は、マーケティングの目標のように明確にすることは難しいですが、具体的な数値目標として定めることが必要です。

また、イノベーションに関わる活動とその成果を評価するための指標も必要です。

  • 過去10年間において、市場地位に相応しいイノベーションを行ってきたか。
  • 明日のためのイノベーションに必要な種子を育ててきたか。自社が使えない可能性のある成果(大学、他社、海外における成果など)に依存するようになっていないか。