目標設定の中心は、マーケティングとイノベーションです。顧客の支払いに直接関わる領域であり、マネジメントの基本的機能だからです。
他の目標はすべて、この2つの目標の達成に貢献するものとして設定されます。
マーケティングの目標
マーケティングの目標も1つではありません。次の7つの分野で目標を設定します。
- 既存の市場における既存の製品
- 既存の製品の廃棄
- 既存の市場における新製品
- 新市場
- 流通チャネル
- アフターサービス
- 信用供与
イノベーションの目標
イノベーションの目標は、「われわれの事業は何であるべきか」の答えを具体的な行動にするためのものです。イノベーションには、次の3種類があります。
- 製品とサービスにおけるイノベーション
- 市場におけるイノベーション
- 製品とサービスを市場にもって行くまでの流通チャネルにおけるイノベーション
イノベーションは思いつきではありません。市場と顧客のニーズから生まれるものです。あるいは、大学や研究所での知識の探求やスキルの発展からも生まれます。
特に技術の進歩が著しくない産業でこそ、企業全体が硬直化しないよう、イノベーションの目標を定めることが重要になります。
また、企業の規模にかかわらず必要な目標です。むしろ小企業の方が、イノベーションのための計画は立てやすいと言えます。
イノベーションは、影響度と重要度の測定が難しいため、目標設定においても困難を極めます。
例えば、即座に利用可能な小さな改良と、長期の努力が必要な大きな革新と、どちらを重視すべきでしょうか。どのような基準で判断すべきでしょうか。業界によって、あるいは、同じ業界であっても企業によって、異なってくると予想されます。
イノベーションは、マーケティングと表裏一体です。マーケティングの目標を達成するために必要なイノベーションの見積もりをしなければなりません。
技術進歩によって期待できそうなものを、直近のもの、将来のものについて予測することも必要です。すでに行われたイノベーションがもたらす具体的な進展についての短期の予測、あるべき姿を思考する長期の予測が必要です。
イノベーションの目標は、マーケティングの目標のように明確にすることは難しいですが、具体的な数値目標として定めることが必要です。
また、イノベーションに関わる活動とその成果を評価するための指標も必要です。
- 過去10年間において、市場地位に相応しいイノベーションを行ってきたか。
- 明日のためのイノベーションに必要な種子を育ててきたか。自社が使えない可能性のある成果(大学、他社、海外における成果など)に依存するようになっていないか。