「問題」と「課題」の違い

「問題」と「課題」という言葉は、よく混同されます。

どちらも意味が広く、ほとんど同じ意味で使われることも多いです。英語の「problem」は、両方に訳されるようです。

ですので、絶対こうですと言い切ることできませんが、一般的な使い方として理解してください。

「問題」とは「理想」と「現実」のギャップ

人が何かに「問題」を感じる理由は、その何かの現状が、自分にとって望ましい状態にないからです。

望ましい状態と現状が食い違っているから、「問題」を感じます。

そこで、「問題」とは「理想」と「現実」のギャップであると定義されます。

ですから、「理想」(望ましい姿)がなければ、「問題」もありません。現状のまま、ありのままがあるだけで、それを問題ととらえる余地はありません。

「理想」があるけれども、現実はそれに至っていない、という状態を「問題」と言います。

表面的な問題ではなく、根本的な問題を突き止める

通常、「問題」としてとらえられるものは、表面的な現象であることが多いと言えます。

表面的な現象であっても、それをなくすためには、奥にある「原因」を見極める必要があります。

原因は一つとは限りません。複数の原因が階層関係をなしていることも多いです。原因A、B、Cがあり、それらの根本原因がDである、といった具合です。

この場合、最初にとらえた現象としての「問題」をなくすためには、根本原因Dを解決しなければなりません。この根本原因Dを「本当の問題」ととらえなければならないのです。

理想、現実、問題、課題

「課題」とは理想に至るために「なすべきこと」

根本原因、すなわち「本当の問題」を突き止めて、どうすればそれを解決して「理想」に至ることができるか、という「どうすれば」に当たるのが「課題」になります。

つまり、「課題」とは「理想」に至るために「なすべきこと(解決の方向性)」です。

課題は原因から導き出されますので、原因が表面的であると、課題も表面的になり、根本的な解決につながりません。一旦、問題がなくなったように見えても、別の形をとって現象化する場合が多いです。

ですから、根本原因を突き止めて、それを解決するための方向性である課題を設定することが大切です。

なお、課題は、一般的に解決の方向性を示すものであり、個別具体的な解決策とまでは言えません。作業として細分化し、担当者を決め、期限を設定すること、すなわち計画として具体化して初めて、個別具体的な解決策と言えます。

「問題解決」と「課題達成」

よく「課題解決」という言い方をしますが、上に説明した言葉の意味からすると正しい言い方ではありません。

「問題」は解決すべきものですから、「問題解決」は正しい言い方です。

「課題」は解決すべきものではなく、成し遂げるべきものですから、「課題達成」という言い方が妥当です。