この記事では、コンスタンチノス・マルキデス(Constantinos C. Markides)の著書『戦略の原理(All the right moves)』の内容を紹介します。
従業員に最も大きな影響を及ぼすのは、組織の状況や環境です。従業員は、たとえ経営陣の意図から外れているとしても、組織環境から当然に導き出される行動をとります。
ですから、経営陣が何を語ろうとも、従業員に自発的な行動を促す環境を整えないことには、何も始まりません。
組織環境が従業員の行動に作用することは以前から指摘されてきました。優れた戦略を実現するためには、ターゲット顧客や製品・サービス、戦術を決めることに加え、適切な組織環境を用意しなければなりません。
どのような環境を整備すれば、従業員はその実現に力を貸してくれるかを考える必要があります。
組織環境とは何か
マルキデスによると「組織環境」とは、次の4つの要素を包括する概念です。
- 組織文化(規範、価値観、暗黙の前提など)
- 組織構造(組織のヒエラルキー、構成、仕組みなど)
- インセンティブ(報酬その他の報奨)
- 人材(スキルやケイパビリティを含む)
これら4つの要素が、全体として戦略の推進を後押しします。
戦略を構築・実行する際の課題は、組織環境の個別要素を用意するだけでなく、それらを融合してシナジーを引き出すことです。
4つの要素が互いにフィットし、共通の目標で結ばれていなければなりません。
戦略が先か、組織環境が先か
マルキデスは、まず戦略を立案し、その戦略に相応しい組織環境をつくるべきであると主張しますが、この考えは必ずしも受け入れられるとは限りません。
つまり、たとえ戦略を変更したとしても、既存の組織環境をすべて刷新するのは無理であり、既存の組織環境を考慮して戦略を考えざるを得ない、という意見が根強くあります。
この意見に対して、マルキデスはあくまで反対の立場をとります。このような発想からは、現状の延長としての戦略しか生まれ得ないからです。
既存の組織環境が障害となって望ましい戦略が遂行できないとすれば、それは本末転倒であり、そもそも戦略を考え、実行する意味がないと言わざるを得ません。