セールスのプロセス − 「高確率セールス」とは何か?④

アポイントを取った見込み客を訪問した後、本格的にセールスのプロセスがスタートします。

商品を希望している顧客だとあらかじめ知ったうえでの商談ですから、初回の面談から率直なやり取りを行います。

ただし、いつでも離脱できる自由があることを常に相手に意識してもらったうえで行うことを忘れないようにします。そうすることが、相手の心を開くために必要だからです。

訪問後のプロセスは、次の順番で進めます。

「信頼関係」を作る

取引を進める最低の条件は、互いに信頼し、尊敬し合えることです。この条件に当たらなければ、他の条件がどれほどよくても取引はしません。信頼も尊敬もできない相手と商売しようとしても、呼吸が合わず、トラブルばかりでろくな結果にならないからです。

お客と間に信頼と尊敬の関係を築くことができたら、他社のセールスパーソンには対抗できない強い競争力を獲得したことになります。商品自体にあまり差がなければ、お客は信頼し尊敬できる業者から買うからです。

相性が悪かったり、信頼関係づくりを拒絶するお客への訪問は、丁寧に、しかしきっぱりと終わりにします。

お客を訪問したら、商品の話は抜きにして、まず相手をよく知り、信頼と尊敬に値する人物かどうかを判断します。仕事でもプライベートでも、どういう過程を経て今の場所にいるのかを探り当てます。

何がその人を動かすのか、人格に影響を与えた過去のできごとや事情、今の仕事に就くまでのいきさつなど、表面的なやりとりよりはかなり突っ込んだ質問になります。

話題のきっかけを得るため、初めて会う時、会社でも建物でも場所でも何でも構わないので、「おや」と思うことを心に止めておき、質問をその後につなぐようにするとよいといいます。返ってきた最後の答えをもとにして次の質問をすると、相手は反応し、会話がはずみます。

相手をよく知るための質問は、「イエス」「ノー」ではなく、好きなように答えられる質問をします。

信頼関係を築くには、自分もまた相手にとって信頼に足る人間であると思ってもらう必要があります。そのために必要なことは、相手に心から興味を持つことであり、誠意を持つことです。率直に話し、無理強いしないことです。

相手が信頼できないと感じたら、さっさと見切りをつけます。具体的に理由が分からないこともありますが、この場合は勘を信じるほうがよいといいます。

買わない客を除外する

この段階は、「発見/除外」と呼ばれるプロセスです。除外はすべての段階において生じ得ますが、ここにおいて本格的な条件を詰めていき、合意できるかできないかがはっきりします。

方法は「質問」をすることです。質問には漏れなく答えてもらい、問題があれば納得がいくまで話し合う必要があります。売り手が判断するのではなく、相手の明確な答え、同意、コミットメントによって初めて合意したことになります。

この作業は、商品の購買に「イエス」か「ノー」を決める顕現を持つ人物を含めた意思決定者全員に対して行う必要があります。そうしなければ、どこかの時点で合意がすべて破棄される可能性があり、すべての時間と労力が無駄になるからです。

まず、相手に、満足条件(購入決定の前提となる基準)を正確に定めなければならないことを伝え、わが社が相手の満足条件を満たす提案を示したらどうするかを尋ねます。

繰り返しになりますが、「条件を満たしたら契約してほしい」とお願いするのではありません。どうするかを相手に決めてもらうのです。

相手の口から「注文する」などのコミットメント以外の返事が返ってきた場合、例えば、「検討する」や「サンプルあるいはデモンストレーションを見せてもらって判断する」などの答えであった場合、基本的なルールとしてコミットメントがない場合は先に進めないことをはっきりと告げます。

サンプルの製作やデモンストレーションには多大な労力がかかることを説明し、先方の満足条件を満たせば注文するというコミットメントがあった場合のみサンプルの製作またはデモンストレーションを行うことを伝えます。

明確な「イエス」のコミットメントが得られなかったら、その時点で訪問を切り上げ、相手を除外します。

「イエス」のコミットメントが得られたら、満足条件を一つひとつ聞いて確かめ、相手の言葉をそのまま記録していきます。こちらで満たせない点は話し合い、どうしても満たせず、先方も譲れない条件があれば、やはり対象外として除外します。

クロージング

こちらが満たし得る満足条件がまとめられれば取引成立になります。

改めて訪問し、提案書やサンプルを見せるなり、デモンストレーションを行うなりして、満足条件を満たすことができると証明できれば、契約書を交わし、あるいは注文書を作成してもらいます。