経営における「参加」とは何か? − 「X理論」と「Y理論」⑨

経営における「参加」は、人間関係論から生まれた観念です。マグレガーによれば、要するに「権限委譲」の別名です。権限委譲にも程度があるように、参加にも程度があります。

アメリカ経営者協会会長のローレンス・アプレイが考える「参加」(管理者から見て、部下を参加させるということ)とは、次のようなものです。

  1. 自分で問題を分析し、最上の解決案を見つけ、
  2. 部下を集めて、共に問題を話し合い、
  3. 自分の最初の案よりもっとよい解決策を得て、会議を終わること

参加の前提

「参加」を有効に利用するためには、前提として、経営者や管理者が部下に依存していることを認識し、部下の潜在能力を信頼しなければなりません。

上司の職務が、部下および部下の仕事に関係あるとき、つまり相互依存関係が存在するとき、部下が発言の機会を持つことはむしろ当然のことであるべきです。

経営者は、個人的権威を重視することから生じるマイナスを幾分でも避けたいと願うなら、部下が意思決定に影響力を持てるような機会と条件を作る必要があります。

参加の効果

「参加」によって、部下が自己の職責に関して、これまで以上の統制力と行動の自由を得ることができます。上司の職責に属する事項について、部下が以前より大きな発言力を持つことになるからです。

「参加」を利用する重要な目的の一つは、部下の成長を促し、責任を取る能力を伸ばすことです。したがって、参加を求めるべき問題を教育的見地から選別することも必要です。

「参加」によって、部下は自我の欲求を満足する本質的機会を掴み、ひいては会社の目標を自ら進んで達成するように振る舞うことができます。その意味で「統合」を達成する手段です。

参加の程度

部下が持つべき影響力の程度には当然幅があり、100か0かではありません。参加の程度が高い(従業員の影響力が100に近い)ほうがよいとも限りません。

意思決定すべき問題の性質、従業員の態度や経験や能力などによって、どの程度の参加を求めるかが決まります。