ドラッカーは、自らを社会生態学者と称したとおり、社会を直接の分析対象としてきました。社会は人間が住む環境であり、人間環境の生態であるととらえていました。
発端はファシズム全体主義の台頭であり、自由を脅かす専制に対抗し、自由を守るための方法を見出すことでした。そのための重要な機能になり得ると考えたのが、マネジメントの存在でした。
ですから、ドラッカーの関心は、マネジメントそのものにあったのではなく、常に社会にありました。社会を健全に保つこと、そのために自由と平等というヨーロッパの伝統を基盤とする秩序を維持することを求めていました。
政治や経済を度々問題にしていますが、あくまで社会を健全に保つための機能としての政治であり経済でした。政治学や経済学といった単独の学問に興味があったわけではありません。
なお、そもそも、社会、政治、経済の区別について知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
ここでは、ドラッカーの政治や経済を含めた社会論について、主として取り上げたいと思います。まずは、ドラッカーの代表作について、次の記事を参照してください。