マッキンゼー マービン・バウアーの経営論

この記事では、マービン・バウアーの経営論について、『マッキンゼー 経営の本質』(ダイヤモンド社)に基づいて説明してみたいと思います。

マービン・バウアーは、コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーで60年にわたって強いリーダーシップを発揮し、同社を世界的なコンサルティング会社へと発展させた中心人物です。

彼が刷新したとされる経営コンサルティングの真髄は、①プロフェッショナリズム、②ファクトベース・コンサルティング、③トップマネジメント・アプローチの3点に集約されます。

「プロフェッショナリズム」とは、クライアントの利益を最優先し、クライアントの問題解決を職業的使命とすることです。

「ファクトベース・コンサルティング」とは、事実に基づいて議論し、戦略を組み立てることです。一見当たり前のようですが、企業経営の現場では、事実を客観的に把握しないままに、思い込みや経験則に基づいて意思決定がなされることが多いのが現実です。

「トップマネジメント・アプローチ」とは、企業経営においては、常に経営者の視点から本質的な解決策を求めなければいけない、という意味です。

部門の壁や過去のしがらみなど、あらゆる制約条件を超えて抜本策を追求できる立場にあるのが経営者です。たとえ現場の問題解決であっても、経営者の視点から妥協せずに本質を追求すること、お決まりの分析手法に依存せず、クライアントごとに最適な方法で問題解決を行うことが大切です。

本書は、経営の意思を組織の隅々にまで浸透させ、洗練された企業体をつくり上げるための一連の方法論として、「経営システム」を中心的に取り上げています。初めに明確な経営の意思がなければ企業は成立せず、その意思を伝達し、実現するために必要なものが「経営システム」です。

「経営」とは、組織の目標を定め、人材等の経営資源をその目標達成へと導いていくことです。優れた経営のためには、目的に沿って基本的な知識や技術を体系的に適用することが必要です。

先端的な知識を満載したやり方が必要なわけではありません。基本的な知識や技術が、全体を貫く太い方針の下で運用されてこそ、大きな効果を発揮します。

大きな目標を掲げて計画的に経営された会社は、技術・社会・政治などの広範な変化に対応しやすいという事実もあります。