組織における意思決定 − バーナードの組織論⑫

個人の行為は2つに分けられます。一つは、熟考、計算、思考の結果である行為です。もう一つは、無意識的、自動的、反応的で、現在あるいは過去の内的もしくは外的状況の結果である行為です。

前者の行為に先行する過程が「意思決定」です。ただし、意思決定にも、それ自体自動的である多くの補助行為が含まれており、その過程は行為者には知られないのが普通です。

組織行為は、専門化による割当によって、最終的には個人の行為として実行されます。それは個人的でない目的を達成する手段の意識的な選択であり、論理的過程です。

組織の目的には2つの側面があります。一つは道徳的な側面であり、組織の未来の理想を表現するものです。もう一つは機会主義的な側面であり、現状を前提になし得るものとして表現するものです。

通常、多くの管理者が行う意思決定は、環境による制約を受けています。意思決定の環境要素は、大きく「目的」とその達成に対する「外的環境条件」の2つに分けられます。

したがって、多くの意思決定は、機会主義的な側面における組織目的の達成に関わるものです。機会主義的側面の目的とその外敵条件を「機会主義的要因」と呼びます。

機会主義的要因の間の関係を調節することが、意思決定の中心的な課題になります。

意思決定を担う管理者は、意思決定の機会を正しくとらえ、自分が引き受けた職位に関して決められた一定の範囲内で、自分の能力をわきまえて意思決定しなければなりません。