企業の管理的な機能

企業の基本的な機能を通じて顧客を創造するためには、経営資源を生産的に使用する必要があります。そのための機能を、ドラッカーは「管理的な機能」と呼んでいます。

管理的機能の経済的な側面が「生産性」です。

生産性の向上

ドラッカーによると、生産性とは最小の努力で最大の成果を得るための生産要素間のバランスです。伝統的な生産性の尺度である、働く人一人あたり、あるいは労働時間1時間あたりの生産量というコンセプトとは異なります。

したがって、生産性の向上は、肉体労働によって実現されるものではありません。むしろ肉体労働を他のものに置き換える努力によってもたらされるものです。例えば、肉体労働を機械設備(資本財)に置き換える方法です。

しかし、生産性の向上にとって本当に重要なことは、肉体労働者をマネジメントに代えることであると、ドラッカーは言います。それは教育ある理論的、分析的な人的資源に代えることです。この代替が行われて初めて、機械設備の計画、設計という理論的、分析的、概念的な仕事が行われ、肉体労働を機械設備に代えることができるからです。

生産性の構成要素

ドラッカーの言う生産性は生産要素間のバランスです。

生産要素は、ヒト、モノ、カネといった目に見えるコストで表せる経営資源だけではありません。

次のような、目に見えるコストでは表せない要素もすべて考慮する必要があります。これらをすべて考慮に入れたうえで生産性を定義し、目標を設定することが求められます。

知識

知識は、正しく適用することが必要です。

時間

時間を継続して利用できる場合は生産性が高くなります。人や機械の稼働率が悪いということは時間を浪費するということです。

製品の組合せ(プロダクト・ミックス)

資源の組合せも含まれます。組み合わせの違いが価値の違いを生むからです。コストとは無関係に生み出される価値です。

プロセスの組合せ(プロセス・ミックス)

内・外製の区分、自社・他社販売網の区分、自社・他社ブランドの区分などの違いです。

自らの強み

得意とするもの、特有の知識や能力、経験、評判を最大限に生かそうとすることです。

自社に特有の限界を遵守することも必要です。

組織構造の適切さと活動間のバランス

組織構造が不適切であれば、無駄な仕事や調整に時間をとられます。

活動の優先順位が適切でなければ、行うべき活動よりも行う必要がない活動が優先され、生産性は明らかに低下します。