イノベーションの機会としてのニーズは、具体的で限定的なものです。すでに生じているものではなく、未だ存在していないものを意味します。
ニーズもまた、企業や産業の内部にあるものです。次の3つのニーズがあります。
- プロセス・ニーズ
- 労働力ニーズ
- 知識ニーズ
ニーズとは何か
イノベーションの機会としてのニーズは、一般的なものではなく、具体的で限定的なものを指します。
予期せぬ出来事やギャップは、すでに生じているものであり、機会として存在するものであるのに対し、ニーズは未だ存在していないものを意味します。ギャップとして現に存在しているものから、具体的なニーズを明確にし、なすべき課題として設定する場合もあります。
ニーズもまた、企業や産業の内部にあるものです。
プロセス・ニーズ
状況をもとに、課題を設定することでニーズが明確になります。誰もが問題が生じていることを知っていますが、誰も手をつけていない状態です。
生じているプロセス・ギャップから、ニーズを明確にし、課題として設定する場合もあります。
知的発見によって、既に存在するプロセスの弱みや欠陥を補うためのイノベーションが実現します。
労働力ニーズ
将来、大量の労働力、相当数の高価な労働力のニーズが顕在化することが予想されるような場合です。
ニーズのままに労働力を投入するのではなく、機械化や情報システム化の課題を設定し、労働力を代替する形でニーズに対応しようとます。
知識ニーズ
開発研究の目的をもったニーズです。明確に理解し、感じることのできる知識の欠落がある場合が該当します。その知識の発見(技術開発など)が必要であるという場合です。
高度なニーズであり、利用がより困難で、リスクも大きいと言えます。
プロセス上のニーズを満たすために、知識上のニーズが生じる場合も多いです。
開発研究だから大規模なプロジェクトになるわけではありません。成功している多くのものは、目標が明確である小さなプロジェクトです。
開発研究は、的を絞るほどよい結果が出ます。
イノベーションの前提と条件
イノベーションが成功するには、次の5つの前提を満たす必要があります。特にプロセス・ニーズの場合に該当します。
- 完結したプロセスについてのものであること。
- 欠落した部分や欠陥が一か所だけであること。
- 目的が明確であること。
- 目的の達成に必要なものが明確であること。
- 「もっとよい方法があるはず」との認識が浸透していること、すなわち、受け入れ態勢が整っていること。
さらに、次の条件を満たすことが必要です。
- 何がニーズであるかが明確に理解されていること、すなわち、解決策がはっきりしているニーズであること。
- イノベーションに必要な知識が手に入ること。
- 問題の解決策が、それを使う者の仕事の方法や価値観に一致していること(一致してないなければ利用されない)。