買わないお客を除外する − 「高確率セールス」とは何か?②

見込み客との信頼関係を築いたと思えたら、「発見/除外」のプロセスに入ります。高確率セールスの中心的なプロセスです。

形式はやはり「質問」であり、目的は取引の下地があるかどうかを判断することです。必要な質問に答えてもらえない場合は、望み薄の客として除外します。

お客が質問に答えつづける限り、除外すべきお客でないことが明らかになっていくことを意味しますので、お客と売る側の関係はどんどんよくなっていきます。それによって相互のコミットメントのレベルを上昇させることができます。

効率よく除外できると同時に、取引に欠かせない情報を発見できるような質問をします。つまり、後になって契約つぶしのもとになりかねない問題を事前に処理する機会を作るということです。

このような対応が可能となるよう、このプロセスにおいては、質問すべき手順が明確に定められています。

ニーズの決定

アポ取りの電話で、この商品が必要であることを確認していますが、その理由を詳しく質問します。

希望(意欲)を確認する

この商品を希望するかどうか、希望するならその理由を聞きます。お願いしたり、誘導したりしてはいけません。あくまで相手の本心を聞くことが大切です。

資金面を確認する

価格は最初からはっきりと伝えます。予算の点で可能かどうか、支払いの用意があるかどうかを聞きます。根切り交渉などはありません。

日程を確認する

商談を進めるとした場合、日程的にいつ頃からのスタートを考えているかを聞きます。

もし予定通りに行かなかった場合の問題についても聞きます。

意思決定者を確認する

会社の場合、商品購買の意思決定には複数の部門や人が関わるのが普通です。今商談している人が責任者であると言ったとしても、通常、注文するかどうかの瀬戸際になって「○○の承認が必要なので即答できない」などと言われることが少なくありません。

ですから、こういう決断をするときに相談する人について確認します。相談相手がいるのであれば、企画提案を準備する前にその人にも会って話をさせてもらえるようお願いします。

相手がそれを承諾しないなら、ビジネスを進められないことをはっきりと伝えます。その人の懸念や反論をあらかじめ知った上でないと、企画提案に取りかかっても、前もって処理できたはずのトラブルが放置されることになり、せっかくの提案が受け入れられないことがあるからです。

そのような説明をしたうえで、どうしたいかを聞き、それでも応じてもらえなければ、除外することになります。

権限を確認する

他に承認が必要な人がいるかどうかを聞きます。

購買決定の認否に権限を持つすべての人と話さなければなりません。相手が渋ったら、同じように、どうしても必要な手続きであることをはっきり説明します。

後々の影響を確認する

もし商品が手に入らなかったら、どういうことが起きるのかを聞きます。

ブランドの好みを確認する

もし今、他の人の意見なしに決めるとしたら、どこのブランドを購入したいかを聞きます。

相手がブランドの好みを持つ場合、たとえ今回の商談で条件に合意できても、最後はそのブランドを選ぶ可能性が残るからです。

サプライヤーの好みを確認する

ブランドではなく、特別に取引したい個別の業者があるかどうかを聞きます。例えば、競合他社に義理の兄など断り難い身内がいるかもしれないからです。このような抗い難いプライベートな関係は、早めに発見するに越したことはありません。

内部手続きを確認する

注文書を発行してもらう際の内部手続きについて教えてもらいます。内部手続きを軽視したために注文が流れることは、思いのほか多いからです。

内部手続きについて綿密にメモを取り、次の質問に映る前に復唱して間違いないことを確認します。

個人的な動機を確認する

この商品を入手しなかった場合に、商談相手個人に何か影響があるかどうかを聞いておきます。

このような質問は余計なことだと思うかもしれませんが、相手にとってあらゆる阻害要因がないことを一つひとつ確認したうえで、自らの意志でコミットメントしたことを自覚してもらい、責任を負ってもらうために必要なことです。

個人的偏見を確認する

今回の取引をためらうような事情がないかどうかを聞きます。

何かカバーしきれていないことがないか、気持ちに沿わないことがないかなど、念入りに確認します。すべてが出尽くしたと思っても、他に何かないかを念押しします。

隠れた障害物を確認する

さらに念を押す意味で、取引の妨げとなるような事柄がどこかに隠れていないかを聞き、よく考えてもらいます。

コミットメントを確認する

すべてが出尽くした時点で、わが社の商品がそれらの満足条件をすべて満たしたとしたらどうするかを聞きます。

買って欲しいとお願いするのではありません。買ってくれるかと聞くのでもありません。「どうするか」と聞き、相手にはっきりと取引するかどうかを言ってもらいます。

「検討する」と言われたら、取引をするとの明確なコミットメントがなければ企画提案の準備をすることはできないことを伝えます。そのうえで、改めてどうするかを聞きます。