地球的環境問題 ー グローバル化の時代 ー 断絶の時代②

地球的な環境問題についても、新しい現実として現れてきました。生態系に対する配慮を経済政策に盛り込む必要があります。

以前は、人間を自然から守ることが問題でしたが、現代は、自然を人間から守ることが問題になっています。

人類共通の問題として、国境を超えた全地球的な取り組みが求められます。特定の国での環境汚染が、他の国にも影響を与えるようになっているからです。

先進国だけの問題でもありません。ドラッカーが指摘する最大の危機は、途上国で進んでいる熱帯雨林の破壊です。

経済に対する考え方も大きく変えなければならないといいます。

経済学では、環境破壊のような経済活動のもたらす影響を外的要因としてとらえる傾向がありました。そのため、その影響に関わる費用は、社会全体によって負担されてきました。そのような対応をしていると、環境汚染を防ぐ動機づけが生まれません。

工場における過去の事故率によって雇用主の拠出額が変動する労働者災害補償保険制度の導入によって、危険な作業によって生じる労働者の災害が、事業の直接的な費用となりました。その結果、労働災害の減少に貢献しました。

環境破壊に関しても同様の措置によって事業の直接的な費用にできれば、生態系上安全でない物質や活動について、代替物や代替方法を探る努力を促進するはずです。代替物や代替方法が見いだせないならば、全面的に禁止することもやむを得ません。

当然、環境対策は、関係国のすべてで実施しなければなりません。そのためのグローバルな協定が必要です。生態系に関わる国際法も必要です。