事業の目標は多数に及びます。いくつもの尺度を使って、複数の側面から事業を見なければ、実体を見誤るからです。
だからといって、多数の目標を一様に追及することはできません。経営資源には限りがあり、時間も有限だからです。
全体のバランスと予算による優先順位づけが重要になります。
目標設定に必要なバランス
目標を設定するには、次の3つのバランスが必要です。
- 利益とのバランス
- 現在と将来との間のバランス
- 異なる目標間のバランス(トレードオフ)
バランスは、機械的に計算できるものではありません。判断が必要です。それ自体がリスクを伴う重大な意思決定です。
管理可能な支出
現在と将来のバランスは、管理可能な支出についての予算によって実現されます。管理可能な支出とは、過去の投資や現在の事業に伴って必要とされる支出以外の支出です。将来のためにマネジメントがコントロール可能な支出です。
具体的には、次のようなものです。
- 減価償却費
- 設備管理費
- 設備更新費
- 設備合理化費
- 設備拡張費
- 研究費
- 製品開発費
- 設計費
- マネジメント関係人件費・育成費
- 販売組織関係費
- 販売促進費
- 宣伝費
- アフターサービス費
- 人事管理費(特に教育訓練費)
これらは、将来のニーズをいかに評価するかによって、いかようにもコントロールできます。将来に現れる利益に関わりますが、すべて現在のコストとして計上されますので、重大な意思決定になります。
個々の費用の影響だけでなく、相互の関係や全体への影響も重要です。
業績の向上や悪化の場合の優先順位、支出期間における拡大または削減の程度も検討しなければなりません。
優先順位の決定
目標には優先順位が必要です。どの目標も少しずつ手掛けるというのが最悪のパターンです。何の成果もあがりません。
優先順位の決定にも公式はありません。リスクを伴う意思決定が必要です。
優先順位づけも予算によって行います。
実行に移す
目標実現のための行動を起こします。
具体的な目標を定め、期限を切って、計画的に実行します。担当者を決め、具体的な仕事を割り当てなければなりません。
次の「戦略計画」へとつながっていきます。