急成長中の組織に特有の問題

マネジメントの職務は狭く設計してはいけません。数年ですべてを身につけられるほど狭く設計した職務では、優れた者であっても成長できず、欲求不満になります。

昇進のインセンティブが著しく強い組織で、そのような問題が起こりやすくなります。

特に、急成長中の組織ではマネジメントの人材が不足しがちになるため、自ずと若年者のマネジメントが多くなり、特に危険です。

強すぎる昇進のインセンティブ

昇進に関しては、組織の年齢構成が大きな影響を与えます。マネジメントが高齢者ばかりの組織が問題にされがちですが、いずれは一気に解消します。

むしろ、マネジメントが若年者ばかりの組織の方が危険です。急成長中の組織でそのような状態になっていることがあります。

そのような組織では、それなりの仕事ぶりでも若くして早く昇進していくことがあり、その下の世代の者たちに昇進の大きな期待を抱かせます。

事業が成長し、次々と新しい部門やポストが生まれているうちは昇進の機会も開かれています。しかし、成長はいずれ頭打ちになり、組織の拡大も止まります。

そうなれば、若年でマネジメントになった者たちは長い間そのポストにとどまることになり、下の者たちの昇進の機会を奪うことになります。

仕事そのものにやりがいや成長の機会がなければ、なおさら大きな欲求不満となり、優秀な人材の流出を招きます。

年齢構成のバランスを取る

特に急成長中の組織で、若年者に昇進の機会を多く与えなければならなくなったときは、内部から昇進させるのではなく、経験のある年配者を外部から招く方が望ましいと言えます。

そうすれば、組織の年齢構成のバランスを取ることができます。

昇進のインセンティブは弱まりますが、その分、仕事そのもにやりがいがあり、成果を通して喜びを得られるように職務を設計する必要があります。

仕事そのもので若年者にやりがいを与えつつ、マネジメントを効果的に育成していくことができます。