アイデアによるイノベーションは、数としては最も多く、全体の70~80%にのぼると言います。
しかしながら、事前に成功するか失敗するかを知る方法がないため、リスクとしては最も大きく、結果的に失敗する確率が最も大きくなります。
ですから、明確な目的意識をもって、ドラッカーが示すイノベーションのための7つの機会を分析するという正しい方法を実行することが必要です。
ただし、失敗する確率は高くても、数としては圧倒的に多いため、社会にとっては有益ですから、アイデアによるイノベーションへのチャレンジを妨げるような取組をしてはいけません。
アイデアによるイノベーションの難しさ
ドラッカーによると、あらゆる種類のイノベーションのうち、最も多いのがアイデアによるイノベーションで、全体の70~80%を占めると言います。企業の開発研究と称されているものの多くも、アイデアを発見するための作業になっていると言います。
しかしながら、アイデアはイノベーションの機会としてリスクが大きすぎ、成功する確率は最も小さく、失敗する確率は最も大きいと言います。
事前に成功するか失敗するかを知ることはできません。なぜなら、市場や社会にその根拠がないからです。
アイデアによるイノベーションに成功できる人について、共通の個性や姿勢、性向を知ろうとする試みがあるようですが、うまく行っていないと言います。
「やり続けていればやがては成功する」といった考え方もあるようですが、これは要するに「博打をやり続け、宝くじを買い続ければいつかは必ず儲かる」と言っているようなものです。やり続けても、その都度の勝率が上がるわけではありません。やる度に勝率は低いままですから、全く根拠はありません。
あくまで自らのアイデアによるイノベーションを志す人に対しては、成功した後の支援を行うことしかできません。ベンチャービジネスの立ち上げとマネジメントの支援です。
アイデアがうまく行くかどうかは、市場に受け入れられるかどうかにかかっています。明確な目的意識をもって、ドラッカーが示すイノベーションのための7つの機会を分析するという正しい方法を実行するしかありません。
ドラッカーは、これら7つの機会だけでもなすべきことは十二分にあり、到底利用しきれないほどあると言っています。ですから、まずはこれらの機会を優先的に利用することが必要です。
アイデアによるイノベーションを妨げてはならない
アイデアによるイノベーションはマネジメントが困難ですが、数としては膨大ですから、一つひとつの成功確率は低いとしても、新事業、雇用増、経済活動の大きな源泉となります。
そのようなチャレンジは、社会にとって必要な資質や行動力、野心、創意ですから、高く評価され、成功は大きく報いられるべきです。
社会がそのイノベーションを促すことは困難であり、事前に成功や失敗を予測することも不可能であり、どうすれば成功するかをアドバイスすることもできませんが、少なくともチャレンジを妨げたり、難しくしてはいけません。
特許料を値上げしたり、特許を取得しにくくしたりする行為は、近視眼的であり有害であると、ドラッカーは警告しています。